“家族”を軸に創り上げる感動のワンストーリー。派生する無償の愛がゲストの心を動かす

今回ご紹介するのは、『ザ テンダーハウス』にてウェディングプランナーを務める山口彩乃(やまぐちあやの)が取り組んだひとつの物語。
「家族に安心してほしい」としきりに話すおふたりと、どのようにして感動を創り上げたのか迫ります。

担当者ご紹介

ザテンダーハウス ウェディングプランナー 山口彩乃
2013年入社。品川にある会場に配属後、全国の会場を経験し、2024年からザ テンダーハウスに配属。

「家族に安心してほしい」から始まった気持ち

初回の打ち合わせはオンライン。おふたりは穏やかで、第一印象からお互いを尊重し合う空気をまとっていました。結婚式への憧れはあるが、具体的に何をしたらいいのか分からないとお悩みの様子。
ヒアリングの中で見えてきたのは、家族との深いつながりと支えられてきた過去。新婦様が語ってくれたのは、過去に周囲へ迷惑をかけてしまったという後悔。

そして、それを乗り越える中で受けた家族や友人からの支えがあったこと。新郎様は「社会の荒波に飲まれつつ、学童保育の仕事を通じて感じた人とのつながり」を語ってくれました。共通していたのは、「家族や周りの支えによって今の自分がある」という実感。そんなふたりに、提案したのが“deeply”というテーマでした。

無償の愛を派生させるストーリー設計

ヒアリングを終えて思い浮かんだのは「どん底から救ってくれた家族=無償の愛を注いでくれる人」という考え。無償の愛を注いでもらった自分は幸せだ、と言い切れるおふたりが素敵だと思い、家族をキーパーソンに置きました。

結婚式という時間の中で、無償の愛がどんどん派生し、ゲストに「家族っていいな」と自然と思ってもらえるような時間になるといいなと思いました。
そこから結婚式を“家族”という一つの軸でストーリー構成し、ゲストにも「家族っていいな」と感じてもらえるよう、演出や進行もテーマに沿って考えることにしました。おふたりと家族が安心できること、そして、家族全員が涙するような感動的な結婚式になることを目指します。

演出で感動の曲線を描く

1.『アッタ!』~記憶を呼び起こすプロフィールブック

新郎様の仕事でもある学童保育にちなみ、絵本『ミッケ!』をモチーフにしたオリジナルブック『アッタ!』を制作。ゲストとの記憶が詰まった写真やメッセージを盛り込み、読みながら「あのとき、あんなこともあったね」と感情を喚起する仕掛けを施しました。

2.ボトルメール

コンセプトブック「アッタ!」の中には小さな便箋を挟み、ゲストに1年後の新郎新婦へお手紙を書いて小さな小瓶に入れていただきボトルメールを作成。再入場後そのボトルメールを専用の宝箱の中に入れてもらいました。

この宝箱の鍵はコードムービーを上映し複数の鍵の中から“当たりの鍵”を探すゲーム形式で参加型演出を取り入れます。ゲスト皆でどこにあるか探し当てるという一体感を狙った仕掛けを入れました。そして見つけた鍵は、結びの感傷へのマエフリとなっていて、つながっていきます。

3. サンクスムービー〜両親への“ありがとう”を映像で

想い出のホームビデオを繋げて感謝の想いを伝える映像を上映。最後はお父様、お母さまのカップル時代の2ショットを入れ込みます。
これを見たお父様は涙。その後新婦の手紙が読まれたのち、ボトルメールのボックスの大切な鍵を御両家のお父様に託しました。

4. ワンスモア乾杯〜歓喜で締めるフィナーレ

エンドロールを見届けたあと、もう一度みんなでグラスを掲げる「ワンスモア乾杯」。
感動を分かち合い、温かな余韻を残して結びとなります。

今回“家族”をテーマにしたひとつのテーマを創り上げる過程で、歩く導線やスペースの作り方、料理や進行の切り替えを工夫しました。
BGMや装花もテーマに合った内容にしてもらい、よりこのテーマが伝わる仕組みづくりができたと感じます。

結婚式のその後に起きた変化

式が終わったあと、ふたりの周囲に“変化”が訪れます。
「今まで結婚式で泣いたことなかったけど、今回は泣いた」「こんな式をしたいと思った」と長文のLINEが届き、なんとおふたりの友人の中には結婚したものの結婚式はしないと決めていたご友人の方がその日のうちにゼクシィを購入された方や式場の資料請求をした方もいらっしゃったそうです。
結婚式は、その場だけの出来事ではなく、人の心や価値観を変える影響力を持つと改めて実感できる瞬間でした。

おふたりからのメッセージ

準備は正直、大変なこともあったが楽しかったです。すべてが終わった今は“やってよかった”の一言に尽きます。結婚式は感謝をまっすぐ伝えられる場。だからこそ、人生の中でそのような機会は中々ないので、良かったです。また準備中含めてパートナーや会場スタッフの方にも我慢せず、気になることがあれば想いをしっかり伝えた方が良いです。

プランナー・山口の想い

初回の打ち合わせから、“家族に安心してほしい”という想いがふたりの言葉に滲んでいました。その言葉の裏側にある過去や背景、そしてそれぞれが乗り越えてきた経験を聞いていく中で、この式は“家族”というテーマで丁寧に紡ぐべきだと感じました。
演出や導線、音楽や言葉の一つひとつに“感情の流れ”を意識し、ふたりの想いがゲストの心に届く構成を考えました。印象的だったのは、式の最中にご家族の皆さんの目に自然と涙が浮かび始めたこと。あの瞬間に、“伝わった”という実感がありました。
初めての試みではありましたが、上辺だけではない「ありがとう」が心に届いていくのを感じ、プランナーとしても大きな学びと喜びがありました。

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