「楽しかった!」という言葉が式への賛辞以上に何より嬉しかった

2021.03.11

2020年8月に「グラナダスィート福岡」で結婚式を挙げられた中西様山本様ご両家。コロナ禍で当初2020年3月に予定しながら、2度の延期を経て当日を迎えられました。
新婦 佳奈さんとお父様に、渦中での心境を振り返り、今感じていることを伺いました。

Q.佳奈さんは、もともと結婚式に対してはどんな想いを持っていたのでしょうか?

佳奈さん「現実味がない頃は、それこそ盛大にやるんだ、お姫様みたいになるんだ(笑)っていうのは片隅にありました。昔ながらのプリンセスみたいな格好をして、盛大にやりたいな、、、なんて考えていました。」

Q.当初結婚式を予定していた2020年3月は、世の中で急にコロナが騒がれ始めたころでした。3月から6月に式を延期されましたが、その時はどんな事を感じていらっしゃったのでしょうか。

佳奈さん「2月中旬まではどちらかというと周りも含めて楽観視していたのですが、私は学校現場で働いているのですが3月1日から休校になり、そこで急に雰囲気が一変しました。結婚式に呼んでいるのも学校の先生が多かったので、立場上来られないだろうな、というのと、何かあったときに責任も取れないなと思って、6月に延期しました。」

お父様「まだ、はっきり正体も分からず心配はしていましたが、実際に身近に大変な雰囲気もなかったので、結婚式はやったほうがよいという考えが私は比較的強かったと記憶していますが、でも学校の休校の影響が大きいと理解していました。」

Q.延期後予定した6月には当初の想定と状況とも大きく変わっていたかと思います。当時の心境はいかがでしたか?

佳奈さん「6月は緊急事態宣言の延長の頃と重なってしまって、その結果にすがるしかない、、みたいな心境でした。今思えばあの時やっても良かったかな、、とは思っているんですけど、その当時はまだ今じゃない、という考えを優先し、一回目以上に比較的早い決断をしました。ただ、一方で延ばすのはこれが最後だとは思っていました。」

Q.その頃、一番配慮したのはどんなことだったのでしょうか?

佳奈さん:「そうですね、、人を集めるからには、“来てよかった”とか安心してみんなが来られるタイミングにはしたいなと思っていました。

ただ、残念ながら3回目の実施予定日の8月末がその状況にはなかったので、迷いはしましたが、その中でも「行くよ」と言ってくれた人はいたのは嬉しかったです。

夫のお父さんも遠方で年配の方も多かったので心配していたのですが、『やる!』と伝えたら二つ返事で『いく!』と言ってくれたのでほっとしました。

私の親戚から心配の声も届いたのですが、人を無理やり呼ぶような心境にはもうなかったので、来られない人は無理しないでくださいと。それでも来てくれた人たちに「来て良かった」と思ってもらえたらそれでいい、と思って決断しました。」

▲結婚式当日に参加できないゲストに事前にストーンを送りメッセージを集め、挙式の演出で”心を繋ぐ”工夫を施したお二人

結婚という一大イベントをどういういう形で自分の人生に残すか、を考えた

Q.結婚式をやる、という考えに至ったのはどんなお考えからでしたか?またお父様はそれに対しどんなお考えでしたか?

佳奈さん「丁度同じ頃に結婚式を諦めた私の友人がいました。結婚式は無理矢理やらなくてもいい、っていう考えも勿論あるかと思います。ただ私は実際当事者になり、諦められない、きっと後悔するという思いが沸きました。今挙げる価値があるから今やりたい、という思いがありました。

コロナじゃなかったらきっとどっちでもいいかなって感じだったかもしれませんが、この状況になって改めて『なんで無理してでも今自分はやりたいのかな』というのをよく考えました。

この状況の中で自分がやりたいって思えたのは、結婚という人生の一大イベントをどういういう形で自分の中に残すか、ということを考えた時に、いい結婚式挙げたいという以上にそれを“経験したい”という思いが勝りました。それをやらずに人生を過ごすのは嫌だと思ったんです。」

お父様「やっぱり参加した誰かが感染したら申し訳ないという気持ちは勿論絶えずありましたよね。ただ、感染の可能性を低めることは随分できてきた時期でしたし、人々の警戒心もありながら会場スタッフの予防策も万全に出来うることもやられていましたから、あとは娘たちの決断に任せる、という思いでした。」

佳奈さん「オンラインを使った披露宴の提案も、当初はあまりに異世界で、大丈夫かな、友達や職場の方に受け入れられるかなぁという感覚もあったんですけど。小学校から大学までの友人の中で『ごめんね、いかれないんだ』という返事を貰っていた中でしたが、Lineで『オンライン入れて結婚式しますー!』と伝えたら『やったー、ありがとう』とタイムラインの雰囲気が一変したので、その時に気持ちがより前向きになりました。」

Q.8月の結婚式当日を迎え印象的だったシーンに何が浮かびますか?

お父様「一つは“華燭(かしょく)の典”といったような従来の酒を酌み交わしたり肩を叩き合ったりができないような中での披露宴でしたから、テーブルを回って挨拶だけはしましたが、コロナ禍ではこういったやり方にはなるんだ、というのは印象としては強く残りましたね。

もう一つは、オンライン越しのスクリーンに、娘の友達が沢山参加してくれていたのがとっても嬉しかったですよね。以前ウチに遊びに来て来てくれた子が映っていて。田舎ですからね、バーベキューして足に蛙が乗っかったら『ギャーっ』って悲鳴を上げたりしてた子がね、そういう友達が映っていて、、、。そんな子が笑ったり泣いたりしているのをスクリーン越しで見てね、あー、ありがたいなぁと思いましたね。」

佳奈さん「わー、コロナ禍だー、みたいなポイントは要所要所にありました(笑)。
演出に関してもコロナ対策をプランナーの高橋さんとやりとりしてきた中で、コロナだから出来ないこともありましたが、あれもこれも何も出来ないとしてしまうのではなくて、『逆にこれを使いましょう、このアイテムに入れましょう』って今だから出来ることを一緒に考えてきたのが前向きに進められた鍵かな、と思っています。

例えば『フラワーシャワーも絶対にしたい!』って思っていたので、直接手に触れない“おしゃれなフラワーシャワーコーン”を手作りして逆にかわいいアイテムになったし。
バブルシャワーではなくバブルガンにリボンつけて出来るようにしました。
話合いながら良い方向に良い方向に進めていただいたので、もう当日はその工夫の傑作が色んなところにあって、もう満足(笑)でした。」

覚悟して自分たちが考えられること全てをやる、やりきる

Q.列席者からかけてもらった言葉で印象的だったことは何ですか?

佳奈さん「『おめでとう、いい結婚式だったね』という言葉もいただいたのですが、それ以上に『楽しかった!』みたいな言葉をもらったのが、心に残っています。
『コロナでどこにも出かけられなくてイベントもなくて、結婚式に来るのはちょっと心配だったかもしれないけど、あー、何よりこの一日を楽しみに、楽しく過ごしてくれたんだー』と。
コロナじゃなかったらそんな感想はもしかしたら気にも留めなかったかもしれません。」

お父様「親戚の参加は二人くらいでしたが、そこは無理せずこちらも心配を増やすことなくできました。だからといって特に『なんでこんな時期にやるんだ』なんて声はありませんでしたから、これでよかったと思っています。」

Q.今振り返って、改めて結婚式を挙げる、ということに対し思うことは何でしょうか?

お父様「コロナ禍ですから、誰がいつどこでどうなるかは誰にも保障ができないから、可能性を低める行為は常にやるしかない。その中で結婚式を挙げる、と決めたなら、あとはもう覚悟して自分たちが考えられること全てをやる、やりきる、というスタンスで取り組めばいい、私はそう思っています。」

佳奈さん「“自分たちで結婚式ができた”というのがあるので心が晴れた気はします。

そして、自分にとって大切な人が浮き彫りになりました。もちろん来てくれた人が大切で、来られなかった人がそうじゃないっていう簡単な線引きではないです。結婚式をやるって決めて、延期して、当日を迎えるまでの中で、一人ひとりと細やかなやりとりを繰り返しました。

コロナじゃなかったら、きっと一斉に招待状作って沢山呼んで、当日流れのままに挨拶して、とあまり深く考えないままだったかも知れません。参加者もただその日が空いているから行くのではなく、きっと、来る来ないという悩まれたと思います。このやりとりがこれまでの繋がりを鮮明にしてくれました。

結婚式を諦めなくてよかった、経験して良かったと、結婚式を挙げた後になって特に今そう思っています。」

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