お二人はSCAPES THE SUITEに何度もお越しになっている
ご常連で、お名前を知らないスタッフはいないほどでした。
しかし、いつの間にかお見かけしなくなっていたのです。
私たちスタッフはどこか寂しく、心配でもありました。
そんな折、ご主人様からお電話をいただきました。
「実は、妻はもう長いこと持病を抱えていまして入院しております。しばらくお伺いできませんが、またそちらへ行くために、早く元気になれるよう頑張ります」
お元気そうに見えた奥様でしたが、本当は辛いご病気を抱えていらっしゃったのだそうです。
こちらへ来ることは、お二人の間での“人生最後の唯一の楽しみ”であり、入院中の今、二人を支えているのは、「またSCAPES THE SUITEへ帰りたい」という想いなのだとお話ししてくださいました。
お二人のために、何かしてあげたい!
impression story
ホテルにまつわる感動エピソードをご紹介いたします。
スケープス ザ スィート(神奈川 葉山/逗子)
remind(思い出す)とmy home(安らぎの家)
このご夫妻への私たちのできるキーワードは、
“remind”(思い出す)と“my home”(安らぎの家)。
まずは、皆で寄せ書きを書くことにしました。
“お二人が居ないSCAPESは寂しいです”
“また帰って来て笑顔を見せて下さい!”
なんと書けば元気づけられるだろう。
海辺へ散歩なさったり、お食事したり、ヨガに挑戦なさったり。
SCAPESでのお二人を思い出しながら、一人一人が一生懸命言葉を絞りだします。
そして、色紙の裏面には、お二人のご贔屓のお部屋
【Saxe blue】のベッドから見た森戸の海の写真を。
それは、奥様が見ていた海。病室のベッドからも思い出していただけるよう、お送りしました。
ご主人様からの電話
しばらくして、ご主人様からお電話をいただきました。
「SCAPESに帰りたいとずっと言っていた家内ですが願い叶わず、この世を去りました。
皆さんに良くしていただいて、ありがとう。色紙、本当に嬉しかったと幸せそうにしておりました。
それで、実はお願いがあるんです。」
淡々と話されるご主人様に、電話を取った私の方が、受話器を思わず握り直したのを覚えています。
「もう一度、妻をSCAPES THE SUITEに帰らせてあげたいんです。
来週の木曜日、1泊予約をお願いできますか。いつもの【Saxe blue】に、大人2名で」
いつも通りグランドチェロキーで、私は“お二人”をお迎えに上がりました。
待ち合わせの場所には奥様の笑顔のお写真を寄り添うように携えたご主人様。
涙を見られないようにするのがやっとでした。
キッチンスタッフ、レストランスタッフ、SCAPES THE SUITEの誰もが、
“お二人”のお帰りをずっと心待ちにしていました。
「お帰りなさい」
「ただいま」
深くお辞儀をされたご主人様がお顔を上げると、微笑みが浮かびました。
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