笑顔の奥にみえたもの、涙の中のたしかなもの

2020.10.13

ザ ランドマークスクエア トーキョー

山口 彩乃

毎年社内で開催されるイベント「感動コンテスト」で2019年ウェディング部門で優勝した山口 彩乃。山口が実際に担当した結婚式のエピソードやそこに込めた想いをご紹介します。
<a href="https://www.positive.co.jp/about/attempt/" style="border: 1px solid;padding: .4rem;position: relative;top: 9px;">感動コンテストについて</a>

ご親族様のみ20名の「会食会」。
そもそも結婚式はやらなくていいと考えていた新郎新婦様でしたが、
せっかくの機会だから両家の顔を合わせる機会に、と会食会のスタイルを選ばれました。

実はおふたりともそれぞれのお父様にどこか引っかかる想いをお持ちでした。
ご新郎は自身のお父様が厳格であるという理由から、今一歩父に歩み寄れず、
ご新婦は入籍よりも先にご懐妊が発覚したことを少し後ろめたいような想いでいらっしゃいました。

しかし、そんな気持ちは心の奥底にしまい、明るい結婚式にしたいと思っていたのです。
むしろそんな気持ちから自分たちは結婚式をしなくてもよいと思っていましたがご両親の為にやろうと決意しておりました。

そこで私はこの結婚式のキーパーソンを両家のお父様とおきました。

“親心子知らず、子の心親知らず”
この壁を乗り越えられるような結婚式を目指しお打ち合わせを進めていったのです。

テーマは 「HAPPY CRYING」

中でも私が特に注力したポイントが2つあります。
 
1つ目のポイントは、もしかしたらおふたりが結婚式よりご懐妊が先になったことをご親族様に対して後ろめたく思ってしまっている
という気持ちを、結婚式で払拭していただくこと。

当日は、親族全員で生まれてくる初孫を喜んでもらえるように、
おむつにゲストがメッセージを書いて飾り付けた、おむつガーランドで新郎新婦様をお迎え。
ウェディングケーキではなく、おむつケーキを使った性別発表などの演出で、
ゲストの方と一体となり会食会をスタートしました。

しんみりはさせたくないといった新郎新婦様の気持ちをはからい行ったこの演出は、
同時に、この結婚式を10年後15年後と未来で見返したときに、
まだ生まれていないけれど確かに存在していた「家族」の存在を、
「愛されて生まれてきた」と語り継がれる瞬間を作れるようにという思いが込められていました。

大きな結婚式と変わりなく得られるもの

そしてもう一つの思いであるキーパーソンであるお父様とおふたりの、心の中の思いを結ぶこと。

でも会食パーティー中はしんみりさせたくない。
ご両家との、そしてお父様との繋がりをより深いものにするために、
会食の場ではなく挙式の場で新郎新婦からこれまでの素直な思いを伝える時間をつくりました。

会食中は、そんな娘や息子の思いを噛み締め共に楽しむ時間として過ごし、
そして会食会の結びではアンサースピーチを謝辞でいただきました。

「こんなに大人になったのか」「なんだかほっとした」など
決してこれからの平たんではない道のりを、共に支えあい頑張りなさいという
両家お父様から新郎新婦への応援メッセージと
「初孫ばんざい!」という嬉しい言葉で会場中が暖かい雰囲気に包まれました。

退場シーンには、誰に言われるでもなく
自然とスタンディングオーベーションが巻き起こり、
新郎新婦様の思い描いていた会食パーティーは結びました。

後日、おふたりから無事に男の子が産まれたというご報告をいただきました。
そして、ご両親が来年の年賀状には結婚式の写真を大々的に使うと意気込んできることを教えてくださいました。

結婚式を通して、小さいけれど深い心のささくれだった、
「親の心子知らず、子の心親知らず」の壁を乗り越え、
更にまたひとつ深い幸せを噛み締めた家族の姿があります。

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